「経済がわかるようになりたいから日経を読む」。真面目な人ほどこの順番を選び、そして挫折します。新聞は前提知識のある読者に向けた差分情報です。地図を持たずに交通情報だけ聞いているようなもので、わからないのが当然です。
ステップ1:中学公民の解像度を上げる
最初の一冊は大人向けの経済書ではなく、中学・高校の政治経済の学習参考書か資料集です。金利・為替・財政・金融政策の関係が、図とともに一枚の地図として頭に入ります。プライドが邪魔をするステップですが、ここを飛ばした学び直しはほぼ失敗します。所要時間は週末2回分です。
ステップ2:経済学の「考え方」を一冊
地図ができたら、神取道宏『ミクロ経済学の力』(日本評論社)へ。分厚い本ですが、数式より日本語の説明が主役で、「経済学者はこう考える」という思考の型が身につきます。マクロ側は中室牧子・津川友介『「原因と結果」の経済学』のような因果推論の入門を足すと、ニュースの「〜の効果があった」という記述を疑えるようになります。
ステップ3:ここで初めてニュースに戻る
地図と思考の型を持ってニュースに戻ると、読み方が変わっています。日銀が利上げを見送ったという記事から、為替への影響、住宅ローン、国債の利払いまで、線が勝手に伸びていくはずです。わからない単語が出たら地図(ステップ1の本)に戻る。この往復が学び直しの本体です。
3ステップの所要期間は、週に数時間として2〜3か月です。急がば回れという言葉のとおりの道順ですが、この順番なら途中で止まりません。